2004 Fiscal Year Annual Research Report
クラミドモナスの核、葉緑体、ミトコンドリアにおける遺伝子発現リズムの制御機構
Project/Area Number |
04J05644
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 拓哉 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 概日リズム / クラミドモナス / 核 / 葉緑体 / 生物発光 / ルシフェラーゼ / コドン使用頻度 / リアルタイムモニタリング |
Research Abstract |
遺伝子発現の制御機構を調べるには、レポーター遺伝子を使い発現量をリアルタイムモニタリングすることが極めて有効な手段である。そこで、最初に葉緑体遺伝子発現の概日リズムをリアルタイムモニタリングすることを試みた。クラミドモナスの葉緑体はコドン使用頻度に偏りがある。そこで、かずさDNA研究所のCodon usage databaseを利用し全てのコドンが葉緑体に最適なルシフェラーゼ遺伝子をデザインした(LUC^+cp)。それをStemmerらの方法(Gene,1995,164,49-53)によって人工合成することに成功した。葉緑体遺伝子psbDのmRNA発現量には概日リズムがみられる。そこで、psbDの5'上流領域にLUC^+cpを接続したレポーター遺伝子を葉緑体ゲノムに遺伝子移入した。予想通り、LUC^+cpのmRNA量、タンパク質量共に概日リズムを示した。ルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを培地に投与しておくと明瞭な生物発光が検出でき、それはLUC^+cpのタンパク質量のリズムとほぼ同じ波形のリズムを示した。よって、この生物発光リズムは葉緑体ゲノムの遺伝子発現リズムを反映していると考えられる。また、生物発光リズムは96穴タイタープレートで培養したクラミドモナスでも観ることが出来たため、大規模な測定系が必要な実験(リズム変異体スクリーニングなど)にも応用可能である。 クラミドモナスは核もコドン使用頻度に偏りがあるため、葉緑体と同様の方法でコドンを最適化したルシフェラーゼ遺伝子を人工合成した(LUC^+nc)。それを核遺伝子LHCB4の5'上流領域と接続し、核ゲノムに遺伝子移入した。やはりこの場合も、明瞭な生物発光が検出でき、それは概日リズムを示した。 これらのリズムレポーター株を用いることで、核及び葉緑体ゲノムの概日リズムを協調的に制御するメカニズムを探ることが出来るであろう。
|
Research Products
(1 results)