2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J05706
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
栗田 光樹夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光赤外線天文学 / 装置開発 |
Research Abstract |
新しい望遠鏡架台を設計した。この設計の新規性は以下の4点である。1)従来型では主鏡を保持する主鏡セルは両端で支持されるため、曲げ変形が起きやすい弱い構造であった。本架台では、主鏡セルは円弧状の高度軸軸受によって直接下から支持する。これにより、主鏡セルに曲げ変形が起きにくく、かたい構造となる。2)主鏡セルにトラス構造を採用し、主鏡セルを軽量化する。3)大重量になりがちであったセンタセクションを省略した。4)1)の改良に伴い、主鏡口径より狭いフォークスパンを実現し、軽量かつコンパクトな方位軸構造となる。 この設計をもとに実際に軽量な望遠鏡架台を名古屋大学構内において試作した。これまでに主要な部分を完成させ、駆動試験、強度試験、振動試験を行った。駆動精度は0".07(rms速度2"/s15分間)で十分な精度を達成した。強度試験および振動試験でも必要十分な性能を達成したが、この構造の問題点も明らかになった。この問題点は今後改良を施す予定である。17年度の初頭に屋外に出して、小型望遠鏡を使った天体追尾試験を行う予定である。現時点で、インストロメントローテータなどのわずかな部品を取り付けるだけで、この架台を実用することができる。この架台は最大口径3mの主鏡を搭載でき、質量が約4.6トンである。従来のものに比べて1/3の軽量化に成功した。本研究の成果は、中口径から将来の超大型望遠鏡まで応用できる。
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