2004 Fiscal Year Annual Research Report
太陽中性子観測による、太陽フレア現象におけるイオン加速機構の解明
Project/Area Number |
04J05759
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 恭子 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 太陽フレア / 宇宙線 / 粒子加速 / 太陽中性子 |
Research Abstract |
本研究では、太陽フレア現象におけるイオンの加速機構を解明することを目的として、太陽フレアでイオン加速が発生することにより生成される太陽中性子の観測を行っている。近年、電波・Hα線・X線・γ線による多波長観測が進み、太陽フレア現象の機構が明らかになりつつある。しかし、太陽フレア現象中で粒子がどのように高いエネルギーまで加速されるのか、特にイオン加速機構については、未だに良く理解されていないのが現状である。 そこで今年度は、名古屋大学太陽中性子観測国際ネットワークを用いて、第23太陽活動期に観測された太陽中性子のデータと、電磁波による太陽フレア観測データを初めて包括的に解析し、太陽フレア現象で見られるイオンの加速機構の解明を行った。第23太陽活動期には100個以上のXクラスの大きな太陽フレアが発生した。太陽中性子観測国際ネットワークから得られたデータの中から、これらの太陽フレアに伴って発生し、5σ以上の統計的有意性を持って観測された、5つの太陽中性子イベントを選び、衛星で観測された強度の強いγ線の発生時刻と中性子のタイムプロファイルを比べ、イオンの加速過程を調べた。その結果、高エネルギーの太陽中性子はγ線が発生した時刻に同時に生成されている事が明らかになった。 第23太陽活動期に観測された太陽中性子イベントの他に、第21,22太陽活動期に観測された太陽中性子イベントを上記の観点で再解析を行った。これら合計10例の太陽中性子イベントは、全てべき-3〜-4のべき関数で書き表されることが分かった。この解析結果より、太陽表面でのイオン加速ではショック加速機構が働いていることを明らかにした。また太陽中性子は、ショック加速機構で加速されたイオンが太陽大気と相互作用して生成されたものであることを明らかにした。加速されたイオンの全流量は10^<30>〜10^<33>個/srであった。
|
Research Products
(1 results)