2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋性細菌由来の抗腫瘍性物質Mangicol類の合成研究
Project/Area Number |
04J05765
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
荒木 啓介 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生物活性セスタテルペン / 合成研究 / Transannular Diels-Alder反応 / Michael付加反応 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、抗腫瘍性および抗炎症性を示す生物活性セスタテルペンMangicol類の全合成ならびにその構造活性相関を行うために合成研究を行った。昨年までにMangicol類の効率的な合成ルートを確立するために、Transannular Diels-Alder反応を鍵反応として、すべてのMangicol類の共通中間体として適用可能である四環性化合物を立体選択的かつ一挙に構築することに成功した。さらに、Mangicol Aの全合成を行うために、得られた四環性化合物を用い、各種官能基変換およびメチル化による四級炭素構築により、Mangicol類の母核にあたるすべての炭素原子を有するエノンへ誘導した。今年度は、母核となるエノンにMichael付加反応を用いて、ポリオール側鎖部の導入を検討した。まず、市販品のアラビノースから、ポリオール側鎖となるヨウ化ビニルを合成し、モデル実験を行った。幾つか条件検討を行った結果、ヨウ化ビニルから有機亜鉛試薬を調製し、Ni触媒下によるMichael付加反応を行うことでカップリング体を得ることに成功した。本カップリング条件は、通常難しいと考えられるヨウ化ビニル側のβ位に脱離基を有する化合物を有機亜鉛試薬にすることができ、さらにエノン側が立体的に混みあった基質に対しても、Michael付加反応が進行する。そのため、通常困難なMichael付加反応に対して新しい可能性を見出すことができた。続いて、実際の基質に本条件を適用したが、反応が進行しなかった。そこで、ヨウ化ビニルおよび反応条件を検討しなおすことで、目的とするMichael付加体を得ることに成功し、全てのMangicol誘導体の合成を可能とする足がかりを得ることができた。
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