2004 Fiscal Year Annual Research Report
エラー関連電位に反映される学習・行動修正機能の研究
Project/Area Number |
04J05875
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
市川 奈穂 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 学習 / 行動修正 / 認知 / 感情 / ERP(事象関連電位) / 自発性瞬目 / 自律神経系活動 / フィードバック |
Research Abstract |
エラー関連電位(Error-Related Negativity : ERN)は、エラー検出及び行動修正に関わる脳活動であり、学習のメカニズムを解明する為に非常に有望な指標である。課題のパフォーマンスやモチベーションの高さと関係する可能性が報告されている。エラー関連電位が学習過程を反映するという事実は近年大きな注目を集めているが、学習過程の指標として実用化を目指すには未だ不十分な点が多い。先行研究では、ターゲット刺激と反応キー選択の随伴性を学習させた課題において、ERPの平均加算処理という問題の為に、実験の前半から後半にかけてエラー関連電位の振幅が変化したという程度の知見に留まっていた。本年行った研究ではこの現象について詳細に検討し、同一被験者内でも学習刺激毎のパフォーマンスの高低により、最初のエラー3試行において既にERN振幅が異なることを明らかにした。更に、"アメとムチ"のような行動結果に対する感情的な反応がエラー関連電位の振幅及びパフォーマンスに影響を与えるかに関して、報酬または損失の有無をフィードバックして検討した結果、上記の指標に関して明確な差は得られないという結果が得られた。この結果は、エラー関連電位は前部帯状回(ACC)起源で行動のモニタリングに関与するとされているが、随伴性の形成には前頭眼窩野の関与が大きく、この脳部位では賞罰のようなポジティブ方向かネガティブ方向かという要因よりも、報酬または損失の大きさという明瞭度のような要因が関与するという報告と一致する。まとめると、本年の研究では、1.エラー関連電位はターゲット毎の学習進行過程を反映していること、2.報酬・損失といったフィードバック方法による影響は受けにくいこと、について明らかにした。次年度には、エラー関連電位が学習のメカニズム解明の指標となる更なる可能性についての検討へと展開していく予定である。
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Research Products
(2 results)