2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノサイズ多孔体中ヘリウム原子薄膜の超流動とボース凝縮
Project/Area Number |
04J05881
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
戸田 亮 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超流動転移 / 次元性 / 原子薄膜 / 量子液体 / ヘリウム / ナノ多孔体 / 比熱 |
Research Abstract |
本研究は、接続性の異なるナノ多孔体を用いて、超流動及びボース凝縮に対する原子薄膜の接続次元性の影響を調べることを目的としている。この目的を達成するために、孔径2.7nmの細孔が孔径の2倍程度の長さで規則的に3次元接続されているナノ多孔体HMM-2を用いた測定用セルと、孔径2.8nmの細孔が300nm程度の長さに渡って1次元トンネル状となっているFSM-16を用いた測定用セルを用意した。二つの多孔体中に吸着したヘリウム4の吸着圧力測定の結果から、二つの多孔体中でヘリウム4の膜成長はほとんど同じであり、二つの多孔体に吸着したヘリウム4のふるまいの違いは、主に次元性によるものと解釈できることが明らかになっている。本年は、昨年に引き続き、HMM-2中のヘリウム4で見られた比熱のピークと超流動転移との関連を明らかにするため、比熱と超流動の同時測定を行った。複数の吸着量において同時測定を行い、比熱のピークと超流動オンセット温度が30mK程度の実験誤差内で一致することが明らかとなった。これは、超流動転移に系の3次元性が反映されたものと考えられ、興味深い。また、このヘリウム4薄膜にヘリウム3を加え、その不純物効果を調べる実験も行った。ヘリウム3不純物の増加により、ヘリウム4薄膜の超流動オンセット温度が低下することが明らかになった。ヘリウム4薄膜の超流動転移に伴う比熱のピークは、ヘリウム3熱容量の増大に伴って確認しづらくなるが、確認できた範囲では超流動オンセット温度と実験誤差内で一致した。現在は、FSM-16を用いて同様の測定を行うことにより、次元性の違いを明らかにする実験を準備中である。
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Research Products
(2 results)