2005 Fiscal Year Annual Research Report
多重極限下における重い電子液体の磁性とボーズ凝縮の研究
Project/Area Number |
04J05888
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松林 和幸 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属転移 / 絶縁体・金属転移 / 圧力実験 / 重い電子素 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、SmSの研究を重点的に行った。試料の純良化と圧力下物性測定技術の改良により、SmS高圧相のintrinsicな物性が明らかになりつつあるが、測定圧力領域を2GPa以上へとさらに拡張することで、常圧絶縁相から高圧金属相までの広い圧力領域における物性測定に取り組んだ。これまでの研究によれば、高圧金属相の低温において磁気相転移の存在が示唆されていた。この磁気的性質を調べるために圧力下交流磁化率測定を行ったところ、相転移は反強磁性秩序の形成によるものであることが初めて明らかとなった。さらにノウハウの蓄積がある圧力下比熱測定において、BeCuとNiCrAl合金を用いた2層式圧力セルの開発を行った。これまで行ってきた測定に加えて、SmSの物性を多角的視点から明らかにするために、光電子分光、赤外分光測定を岡崎分子科学研究所との共同研究で行った。放射光を用いた光電子分光測定により、SmSのバルクな物性を引き出すことに成功した。赤外分光測定ではストイキオメトリーからのずれによる物性の変化に着目して実験を進めているが、今後は圧力・磁場効果の実験にも取り組む予定である。また、これまでの物質・材料研究機構との共同研究による単結晶育成の経験を生かし、所属研究室にある設備を用いて単結晶育成ができるように実験環境の整備も行った。これらの結果は、日本物理学会(2005年秋季大会、年次大会)とオーストリアで開かれた重い電子系に関する国際会議(SCES)において発表を行った。さらに実験を進めて7月に京都で開かれる国際会議(ICM)でも発表予定である。また、初年度と今年度に得られた圧力下比熱等の測定結果に関しては現在論文としてまとめている。
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Research Products
(1 results)