2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱音響現象における測定手法の確立とそれを利用したエネルギー変換の実験的解明
Project/Area Number |
04J05902
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田代 雄亮 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員-DC1
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Keywords | 熱音響現現象 / エネルギー変換 / エネルギー流 / 温度変動 |
Research Abstract |
音波が狭い流路内を伝播するとき、音波を担う流体は流路壁と熱交換を行う。その結果多様な熱音響現象が生じる。熱音響現象の理解はエネルギー流の観点から進められてきた。熱音響現象では狭い流路を持つ蓄熱器内で、音波を担う流体が、自身の仕事流(音響強度)と熱流をエネルギー変換している(熱音響エネルギー変換)。近年この熱音響エネルギー変換を利用した多くのデバイスが開発され、可動部を全く持たないことから、新しい熱機関として熱音響現象は大きな注目を集めている。 私は熱音響エネルギー変換の実験的理解をこれまで行ってきた。仕事流は圧力変動と流速変動の同時測定により定義式から実測可能である。一方音波に由来する熱流の測定は困難である。そこで熱流と仕事流の和である全エネルギー流の測定を試みることにした。全エネルギー流は温度変動と流速変動を同時に測定することで実測可能である。流速変動の測定手法は既に確立されているが、温度変動の測定手法は確立していない。本研究では極細熱電対(線径15μm)を使用し、温度変動測定を行った。熱電対は変動する環境温度に対して実際の値より必ず小さく、しかも有限の時間遅れを伴って応答することがわかった。この応答性を熱電対の線径、音波の周波数、音波を担う流体の種類、管の内径を変えて定量的に調べた。その結果、熱電対の応答性は熱電対の有限な熱容量、熱電対周りの熱境界層に依存することがわかった。そしてすべての実験で、熱電対から得られた出力の振幅・位相に補正因子を加えることで、再現性よく正確な値を見積もることが可能であることがわかった。これは補正因子を用いることで正確に管内音波の温度変動を実測可能になることを意味する。今後はこの手法を用いて、仕事流を測定すると同時に全エネルギー流も測定して熱流を決定し、熱音響エネルギー変換を実験的に理解する予定である。
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