2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規がん温熱免疫療法“Heat Immunotherapy"の開発
Project/Area Number |
04J05927
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 功二 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 温熱療法 / 免疫療法 / 癌治療 / 樹状細胞 / 磁性微粒子 / リポソーム |
Research Abstract |
現行の温熱療法は、体外からラジオ波をあて、体組織のわずかなラジオ波の吸収の違いを利用して加熱しているため、正常組織も加熱されるなどの問題点があり、癌の治療において第一選択となることはない。我々はこの欠点を克服するため、マグネタイト微粒子を発熱体とする深在性ガン温熱治療を開発した。その研究過程で、単に腫瘍を熱死滅させる効果のみでなく、免疫系の賦活により転移巣の治療の可能性をも含むことが認められた。 温熱免疫にはHSPが関与している。このHSPを利用する癌ワクチン療法がアメリカで始まっている。 私は温熱療法における免疫賦活効果をさらに効果的に強力に誘導させる事で、癌根治の最大の障壁である転移癌も治療でき、かつ免疫を制御することで低い副作用と高い腫瘍特異的免疫という特徴を備えた世界でも初めての癌治療法として確立する事を目的とする。 これまでに、HSPが専門的抗原帝位細胞を活性化するという知見が示されてきており、その役割を効果的に行わせるために専門的抗原提示細胞の中で最も提示作用の強い樹状細胞(DC)を温熱療法と組み合わせた。これはB16メラノーマを治療対象とし、温熱治療後の腫瘍に未熟DCを投与した。未熟DCは温熱された腫瘍細胞の刺激により成熟することが確認され、温熱+DC治療によって10匹中6匹で腫瘍の完全退縮が見られた。完治したマウスでは腫瘍のRechallengeを行ってもすべてが拒絶し、細胞障害活性の測定によりCTLとNK細胞の活性が高まっていて、これらがeffectorとして関与することが示唆された。
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