2005 Fiscal Year Annual Research Report
筋の痛みにおける痛覚関連遺伝子の同定およびその発現
Project/Area Number |
04J05947
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤井 優子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 筋痛 / カラゲニン / ASICs / TRPV / P2X / 筋炎 / 痛み / 後根神経節 |
Research Abstract |
筋に起因する痛みは、症状の悪化により、筋力の低下や関節可動域の制限を伴い、日常生活や社会的活動に困難を生じさせる。治療に要する医療費は大きな社会問題となっており、筋痛のメカニズムの解明および治療法の確立は、医学的且つ社会的に意義深いものである。 近年、皮膚における侵害受容器の興奮や興奮性の変化に関与する分子が明らかにされ、これらの痛覚関連遺伝子およびその産物を標的とした痛みの治療法が新たに提案されている。しかし、筋痛に関しては、(1)筋が皮膚や皮下組織に覆われている、(2)適当な実験モデルが存在しなかった、などの理由によって研究が遅れている。 本研究の目的は、筋痛モデルを確立し、筋痛のメカニズムを分子レベルで明らかにすることである。 ラットの腓腹筋に起炎剤(カラゲニン)を投与し、炎症による筋痛モデルを確立した。腓腹筋への機械刺激による痛みの閾値の経時的変化を観察した結果、投与後12時間で最も閾値の低下が見られた。トレーサーを用いて腓腹筋の知覚神経を逆行性に標識し、カラゲニン投与後12時間で第5腰髄の後根神経節における、ASIC3、TRPV1,2、P2X_3の陽性細胞数の変化を免疫組織学的方法により計測した。その結果、ASIC3、TRPV1、TRPV2陽性細胞数が増え、P2X_3陽性細胞数が減少していた。以上の結果から、これらの分子が、起炎剤投与による筋の痛みや知覚の変化に関与していることが示唆された。また、伸張性収縮(ECC)による筋痛モデルを確立した。腓腹筋への機械刺激による痛みの閾値の経時的変化を観察した結果、ECC後1〜2日で閾値の低下が見られず、炎症による筋痛とはメカニズムが異なると考えられた。
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Research Products
(3 results)