2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J05964
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石川 裕規 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核多角体病ウイルス / 宿主域決定機構 / HRF-1 / 抗ウイルス応答 / 全タンパク質合成停止 / eIF3a |
Research Abstract |
本研究は、核多角体病ウイルス(NPV)の宿主域決定機構を分子レベルで理解することを目的としている。マイマイガ由来のLd652Y細胞において増殖可能なLdMNPVのゲノムに特異的にコードされるHRF-1は、Ld652Y細胞においては増殖不可能なAutographa californica MNPV (AcMNPV)の増殖を促進する因子として同定された。我々はこれまでに、HRF-1はAcMNPVだけではなくNPV一般のLd652Y細胞における増殖に必須な因子であることを明らかにした。また、HRF-1はNPV感染によって誘導される抗ウイルス応答である全タンパク質合成停止を排除する機能をもつことも示している。本研究では、HRF-1が全タンパク質合成停止を排除する分子機構を理解することを目的として、HRF-1と相互作用する因子の探索を行なった。 HRF-1の全長をbaitとした酵母two-hybrid法により、Ld652Y細胞のcDNAライブラリーから、HRF-1と結合する細胞因子のスクリーニングを行った。その結果、翻訳開始因子であるeIF3サブユニット10(Ld-eIF3a)の部分cDNAを得た。RACE法によってLd-eIF3aの全長cDNAを同定したところ、Ld-eIF3aは1199アミノ酸からなり、他の生物種のeIF3aと高い相同性を示した。同定した全長Ld-eIF3aをHRF-1と共にLd652Y細胞において強制発現させ、免疫沈降法を行った結果、Ld652Y細胞におけるHRF-1とLd-eIF3aの結合が示された。HRF-1のLd-eIF3aとの相互作用に関わるドメインを決定するために、HRF-1の各種変異体を作製し、酵母two-hybrid法によりLd-eIF3aとの結合能を調べた結果、HRF-1のα-helix構造がLd-eIF3aとの相互作用に関わることが明らかになった。現在、HRF-1とLd-eIF3aの相互作用の生物学的意義の検討を行っている。
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