2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規H^+ピロホスファターゼの分子構造、作動機構、生理機能の解析
Project/Area Number |
04J05967
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
広野 めぐみ 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | H^+-ピロホスファターゼ / 放線菌 / 酵素学的解析 / 変異体解析 / 阻害剤 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
1.放線菌H^+-ピロホスファターゼ(V-PPase)の酵素学的性質 放線菌V-PPaseを発現させた大腸菌膜から活性を維持した酵素の精製方法を確立した。この精製酵素標品および放線菌V-PPaseを発現させた大腸菌膜を用いて酵素学的性質の解析を行った。V-PPase全体の分類に関わるイオン要求性を含め、新規V-PPaseである放線菌酵素について多くの知見を得ることができ、V-PPaseの新たな一面が見られた。放線菌V-PPaseはII型酵素であることが分かった。また、植物V-PPaseとの性質比較により、温度耐性や至適pH領域に関して植物酵素と特に異なる性質を持つことを明らかにした。 2.V-PPase変異体ライブラリーの解析 ランダム変異導入した1万種以上のV-PPase変異体すべてを解析するため、多サンプル同時解析プロトコールの確立を目指した。具体的には、変異体膜サンプルについて、加水分解活性,H^+ポンプ活性の測定およびサンプル中のV-PPase定量を含めた連続的な解析プロトコールを確立した。変異体の膜調製とその解析を開始した。 3.新規特異的阻害剤の検索 アシルスペルミジンの構造を改変した化合物をデザイン・合成し、その阻害作用を検討した。13種類のサンプルの中には阻害効果が見られるものがいくつかあったが、アシルスペルミジンに匹敵するほどの強力な阻害作用を示す化合物は得られなかった。様々な構造のアシルスペルミジン改変化合物を用いた解析により、アシルスペルミジンの構造のうち、スペルミジン骨格ではなく、アシル基が阻害作用をもたらし、その構造の違いにより阻害作用の強さが大きく変わることが分かった。引き続き、基質類縁化合物を含めた新規化合物をデザイン・合成し、その阻害作用についての解析を行っている。
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