2004 Fiscal Year Annual Research Report
有機半導体レーザーの実現 〜高効率電荷注入・輸送機構の構築と解明〜
Project/Area Number |
04J05973
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小山田 崇人 千歳科学技術大学, 大学院光科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機半導体レーザー / 有機LED / セシウム / リン酸化合物 |
Research Abstract |
私たちは有機半導体レーザーの構築を目指している。これを実現させるためには、有機LEDの特徴である積層薄膜構造を生かし、光を有機薄膜内で導波させる方法が有効であると考えられる。しかしながら、通常の厚さ100mm程度の有機LEDでは、陰樹こよって光が吸収されてしまう問題点がある。そこで、陰極による光の伝播ロスを回避するために、厚膜有機LED素子を作成する必要がある。しかしながら、膜厚の増加に伴い、駆動電圧が上昇してしまう問題点がある。厚膜素子を作成するためには効率的な電荷注入と電荷輸送機構の構築が不可欠である。 本研究では、電子注入層に仕事関数が低いセシウム(Cs)と新規電子輸送性リン酸化合物であるphenyldipyrenylphosphine oxide (POPy_2)の共蒸着膜を用い、有機LEDの低駆動電圧化について検討した。まず初めに、Cs : POPy_2共蒸着膜を用いた有機LEDのCs濃度依存性について検討た。Cs濃度は1:2,1:1,1:0.5,1:3について検討し、素子構造はITO/α-NPD/Alq_3/Cs : POPy_2/Alである。Cs : POPy_2共蒸着膜を用いた素子は、どのCs濃度においても参照素子であるCs層をPOPy_2/Al界面に挿入した積層素子よりも、駆動電圧が低下することが分かった。特に、Cs濃度が33%のCs : POPy_2(1:2)の時、最も駆動電圧が低下し、4Vで115mA/cm^2に達する高電流密度が得られた。このことから、Cs : POPy_2共蒸着膜を用いた素子はポリマーを用いた素子に匹敵する低駆動電圧が達成され、低分子材料系においてはこれまで報告されている素子の中で最も駆動電圧が低い素子を構築することに成功した。 今後、有機半導体レーザーの構築を行うため、光を導波させる最適な膜厚の検討を行う。また、詳細な電荷注入及び輸送機構の解明を行う。
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