2005 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスを用いたピロリ菌感染における胃腺粘液細胞型粘液の機能解明
Project/Area Number |
04J06015
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 有紀 信州大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ピロリ菌 / トランスジェニックマウス / 糖鎖遺伝子 / O-グリカン |
Research Abstract |
本研究の目的は,胃粘膜表層部の表層粘液細胞で特異的にヒトα4GnT遺伝子を発現させたトランスジェニックマウス(Tgマウス)作出することにより,ピロリ菌感染におけるαGlcNAc含有O-グリカンの機能を個体レベルで明らかにすることである.平成17年度は,以下に示す通り,Tgマウスのライン選抜に難航した. 224個の受精卵へのマイクロインジェクションより,サザン選抜の結果,1〜10コピーが導入されたF0マウス6匹を得た.F0マウスと野生型マウスを交配させて得られたF1マウス123匹のうち,10コピーが確認されたF1マウス4匹を得た.胃および肝臓を採材し,ヒトα4GnT抗体ならびにHIK1083抗体で免疫染色したところ,ヒトα4GnTの発現は確認されなかった.また,RT-PCRによってもヒトα4GnT遺伝子は検出できなかった.F1マウスでヒトα4GnTの発現が見られない原因としては,導入遺伝子がサプレッサー付近に導入され,その発現が妨げされた可能性,マイクロインジェクションによって導入遺伝子が断片化し,プロモーターが発現しなかった可能性が挙げられる.そこで,272個の受精卵への追加マイクロインジェクションを行い,サザン解析の結果,3〜100コピーが導入されたF0マウスを5匹得た.現在,これらのF0マウスと野生型マウスとの繁殖ならびにサザン解析を同時進行で行っている.ライン選抜の結果,ヒトα4GnTの発現がmRNAならびに蛋白レベルで確認されたTgマウスが得ることができれば,平成18年度にH.pylori Sydeny Strain (SS1株)の感染実験を予定している. ピロリ菌感染の予備実験として,SS1株の液体培養の条件検討を行った.ブルセラブロスならびにブレインハートインフュージョン培地を組み合わせた液体培養を行うことにより,活発な運動能を持ち,形態に変化の無い菌体を得ることができた.また,コロニー形成実験による生菌数も精査したことより,SS1株の培養方法を確立した.
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