2004 Fiscal Year Annual Research Report
高二酸化炭素環境が深海生物に与える生理学的影響の解明
Project/Area Number |
04J06024
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
林 正裕 長崎大学, 大学院・生産科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 二酸化炭素 / 海洋隔離 / 深海魚 / 急性致死影響 / 海産魚類 / 生物影響評価 / 高水圧 / 低水温 |
Research Abstract |
深海生物を供試材料として深海環境を模した装置を用いて、高CO_2環境炉深海生物に及ぼす影響を室内実験で把握する手法を開発し、その手法を用いて生物影響を調査することを主目的として実験を行い、今年度は以下の成果を得ることができた。 1、文献・聞取り調査によって、供試材料として深海魚のザラビクニンCareproctus trachysoma及びゲンゲ類が比較的入手が容易であることが分かった。そして、実際にそれらの深海魚を入手・飼育し、健全な状態で飼育できる技術を確立した。 2、既存の高圧実験装置を改良し、圧力、温度、CO_2濃度を制御し生物実験を実施できるシステムを開発した。そして、その装置内にウナギAnguilla japonicaやザラビクニンを収容し、装置が十分に機能することを確認した。 3、常圧下であるが、予備的にザラビクニンを高CO_2環境に曝露し、ザラビクニンの急性致死CO_2レベルは、1%CO_2(CO_2分圧≒1kPa)よりも高いことが分かった。 4、これまで浅海種で得られているCO_2海洋隔離の生物影響調査の結果から、深海生物のCO_2影響を推定する一手段として、浅海魚(ヒラメParalichthys olivaceus)のCO_2耐性に与える低水温の影響を検討した。その結果、ヒラメの急性致死CO_2レベルは水温20℃では5%CO_2であったのに対し、水温5℃では3%CO2であった。このことから低水温によって浅海魚のCO_2耐性が低下することが分かった。
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