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2004 Fiscal Year Annual Research Report

メロヴィング期フランク国制史

Research Project

Project/Area Number 04J06075
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

杉浦 武仁  関西大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)

Keywords初期中世史 / ヨーロッパ / 国制史 / メロヴィング期 / 司教支配 / スイス / クール司教
Research Abstract

メロヴイング期のフランク国制史の一端を解明する目的で、司教支配という概念を基点に検討を進めてきた。この問題は、画一的に論じることのできないアポリアを前提的に含んでいるため、どうしても個々の事例研究という方法をとらざるえない。そのため、特別研究員の一年目はスイスのクール司教区に焦点を当て、支配の内部構造についての実証研究に専念した。
個々の司教支配の事例について、それぞれが重要な意味を持つことを考えれば、王国版図の最辺境に位置するクール司教区を特殊な例としてみなすこともまた許されないだうう。クール司教の事例も当時の国制の本質を探るうえで重要な意義がある。このことを念頭においたうえで実証的に検討した結果、一般にドイツ史学のいう司教支配概念は、相対化されなければならないことが明らかとなった。
7世紀後半以降における王権の強制力の脆弱化と、有力貴族による司教職の世襲に特徴付けられた司教支配の実態は、これまであまりに政治史的な文脈で描かれてきた。しかし、その支配の内部構造を遺言状あるいは考古学的知見から考察することによって、強権的な側面を含む支配形態とは異なる実態が想定される。そして、有力貴族による司教職の独占という現象よりも、司教の権威そのものの高まりが背景にあるのではないかとの見通しを持つにいたった。ここで、支配の意味についての再検討が求められる。具体的には、司教権力の機能と役割が問題となるだろう。これらについては裁判文書などからいくつか判明する。その結果表出される司教支配の実態は、家父長的支配原理とは別次元の、その地域の社会的安定を担う存在として把握されるのである。地域ごとに大小の偏差を伴うメロヴィング期フランク国制史の一端は、このように個々の司教権力の社会的機能を正確に分析することで解明の糸口が見出せるだろう。

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Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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