2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06085
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
岩尾 一史 神戸市外国語大学, 外国語学部, 特別研究員
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Keywords | 吐蕃 / 税制 / 土地制度 / 文書行政 |
Research Abstract |
今年度は特に吐蕃の税制・土地制度を中心に研究した。その成果は今年度京都大学文学部に提出した博士学位論文『吐蕃の国家と支配体制』に取り入れられた。また特に税制研究については、その成果の概要を口頭発表し得た。今年度の補助金は主に上記の研究を遂行するため、原史料である中央アジア・敦煌出土文書を閲覧するための長期海外出張費に、またチベット学・敦煌学関係の文献購入費に充てられた。 吐蕃の税制に関しては、8月に口頭発表する機会を得た(中央アジア学フォーラム)。またそこで得られた知見を基に、博士論文の第四章「吐蕃の税制-dpya', khral, khva-」としてまとめ得た。その内容は、(1)幾つかの税項目を新出の敦煌古チベット語文書によって意味確定する、(2)税徴収に際し吐蕃独自の会計処理が施されていたことを明らかにする、(3)税の徴収運営に際して高度な文書行政が存在していたことを明らかにする、の3点である。現在、発表内容及び博士論文、また文書調査により得られた新知見を基に、国際学会にて口頭発表する予定である(2006年5月)。また論文としても出版すべく準備中である。 吐蕃の土地制度については、博士論文の第五章「吐蕃の土地制度-キャの研究-」としてまとめた。そこでは、古チベット語のキャ(rkya)という術語が土地の計量単位であると同時に「検地された土地」を意味し、徴税もそれに基づき行われたことを、幾つかの敦煌古チベット語文書に基づき明らかにした。現在、これに加え文書調査により得られた知見を基にした論文を準備中である。
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Research Products
(1 results)