2005 Fiscal Year Annual Research Report
構造生物学的手法によるユビキチン-プロテアソーム系の分子認識および作動機構の解析
Project/Area Number |
04J06128
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
坂田 絵理 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ユビキチン / アタキシン / 神経変性疾患 / Nedd8 / Ufm1 / ユビキチン様モディファイヤー / マシャド・ジョセフ病 |
Research Abstract |
本研究は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ポリグルタミン病などの神経変性疾患の原因遺伝子産物について構造生物学的研究を展開し、疾患の発症メカニズムに構造的基盤を与えることを目的とした。 Ataxin-3はポリグルタミン病の1つであるマシャド・ジョセフ病の原因遺伝子産物であり、N末端側に脱ユビキチン活性を有するJosephinドメインを配置し、C末端側にポリグルタミン鎖および3つのユビキチン(Ub)結合モチーフを有する373残基からなるタンパク質である。本研究ではataxin-3の分子認識機構を明らかにするために、2つのUbがイソペプチド結合により結合したダイユビキチン(Ub2)とJosephinドメインとの相互作用をNMRを用いて解析した。その結果、Ub2のproximalユニットのC末端はJosephinドメインの活性部位近傍に配向していることが示され、Josephinドメインがendo型の脱ユビキチン化酵素であることが示唆された。 ユビキチンシステムは複数の酵素群の調和によって細胞内の恒常性を維持している。このシステムの制御に様々なユビキチン様モディファイヤーが関わっていることが明らかになっている。ユビキチン様モディファイヤーの構造生物学的研究を展開し、ユビキチンシステムの制御機構を明らかにした。 細胞周期を制御するユビキチンリガーゼであるSCF複合体は、Cul1、Rbx1、Skp1、F-boxタンパク質が4者複合体を形成しており、Cul1にユビキチン様タンパク質であるNedd8が共有結合することによりそのユビキチンリガーゼ活性が上昇することが知られている。我々はCul1上のNedd8修飾サイトがE2結合部位であるRbx1の空間的近傍にあることに着目し、Nedd8とE2との相互作用解析を行い両者が結合することを明らかにした。更に、NMRを用いて決定したNedd8上のE2結合部位をアミノ酸置換変異により改変し、それに伴うユビキチンリガーゼ活性への影響を明らかにした。本研究により、Nedd8はRbx1と協同的E2と結合し、E2のSCF複合体へのリクルートメントを上昇させ、基質のユビキチン化を促進していると考察した。 更に、最近発見された新規ユビキチン様モディファイヤーUfm1の動的構造解析を行い、Ufm1のダイナミクスを明らかにした。本研究によりUfm1はユビキチンやNedd8などのほかのモディファイヤーとは異なる基質と相互作用する可能性が示された。
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