2006 Fiscal Year Annual Research Report
構造生物学的手法によるユビキチン-プロテアソーム系の分子認識および作動機構の解析
Project/Area Number |
04J06128
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
坂田 絵理 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ユビキチン結合酵素(E2) / ユビキチンリガーゼ(E3) / Nedd8 / NMR / X線結晶構造解析 / ユビキチン / ポリユビキチン鎖 |
Research Abstract |
細胞周期の進行などに関わるユビキチンリガーゼ(E3)であるSCF複合体は、ユビキチン様タンパク質であるNedd8により修飾され、活性化されることが知られている。私は構造生物学的手法を用いてNedd8化修飾によるE3の活性化機構の解明を目指した。 NMR解析により、Nedd8はIle44を中心とする疎水性表面を用いてUbc4と相互作用する一方で、Nedd8自身のE2であるUbc12とNedd8は相互作用しないことを明らかにした。Nedd8はUbc4のN末端セグメントに結合することを示した。興味深いことに、Ubc4分子表面上でNedd8結合部位とE3結合部位は隣接していることが判明した。さらに両者の相互作用部位をアラニンに1残基置換した各種変異体を作成し、変異が基質のユビキチン化に及ぼす影響を解析した。その結果、Nedd8変異体およびUbc4変異体がともにSCF複合体への活性化能が損なわれていることを明らかにした。以上の成果をもとに、ひとたびNedd8修飾を受けたSCF複合体はNedd8自身のE2であるUbc12を排除しつつ、Rbx1と協働してユビキチンのE2であるUbc4を選択的にリクルートすることにより、高いE3活性を獲得しているというモデルを提唱する。 さらに、ユビキチンと共有結合を介して連結したUbc4 (Ubc4-Ub)の構造解析を行った。Ubc4の85番目のシステイン残基をセリンに置換した変異体を用いて、E1を用いた酵素反応によりユビキチンをエステル結合を介して連結させ、Ubc4-Ub複合体を調製した。蒸気拡散法によりUbc4-Ub複合体の結晶化に成功した。この結晶を用いて大型放射光施設を利用してX線回折実験を行い、その原子座標を2.2Åの分解能で決定した。本研究により、ユビキチン鎖形成反応の構造的基盤を与えることができた。
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Research Products
(3 results)