2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06146
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
林 良信 茨城大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロアリ / カースト決定 / 単為生殖 |
Research Abstract |
ヤマトシロアリにおける最近の研究で、幼虫がニンフまたはワーカーのどちらに分化するかは遺伝的に決定されていることが示唆された。本年度ではヤマトシロアリのカースト決定において遺伝的要因が関与するか検証することを目的とし、以下の単為生殖実験と交配実験の2つの飼育実験を行った。 単為生殖実験ではニンフ型(N)・ワーカー型生殖虫(E)に単為生殖をさせ、交配実験では♀Nと♂N、♀Nと♂E、♀Eと♂N、♀Eと♂Eの組み合わせで交配をさせた。その結果、単為発生個体は染色体数の調査により2倍体であること、また、親ではヘテロ接合であるマイクロサテライト遺伝子座においてホモ接合になっていることが明らかになった。このことからヤマトシロアリのニンフ・ワーカー型生殖虫の単為生殖は、オートミクシス型であるといえる。180日の飼育期間内での産卵数について、単為生殖・交配実験ともにニンフ型とワーカー型生殖虫の間で有意な差がみられた。一方、同型の生殖虫間では、単為生殖・交配による産卵数のちがいはなかった。単為生殖・交配実験で生まれた仔の性とカーストを調べると、実験ごとに性比・カースト比は異なっていた。 以上の実験から幼虫がニンフ、ワーカーのどちらのカーストに分化するかは、ふ化前の内的要因が強く関与して決定されることが示された。個体間での遺伝的な差異が、何らかの外的要因(たとえば、カースト分化フェロモンや栄養物質)の感受性の差異に関係する可能性があるため、今後外的要因のカースト分化に対する影響も調査する。
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