2006 Fiscal Year Annual Research Report
人為的撹乱による景観変化が熱帯樹木-種子食者相互作用に与える影響
Project/Area Number |
04J06159
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中川 弥智子 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授
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Keywords | 人為撹乱 / 小型哺乳類 / 安定同位体 / 休閑林 / 孤立林 / 熱帯林 |
Research Abstract |
昨年度までの研究結果から、焼畑休閑林1年後を除いて、森林タイプ間で小型哺乳類群集に明瞭な差異は認められなかった。そこで捕獲小型哺乳類個体と各プロットのリター(各10サンプル)の安定同位体解析(窒素)を行い、修正窒素安定同位体比(小型哺乳類の値-その個体が捕獲されたプロットのリターの平均値)を用いて、森林の人為撹乱の影響を検討した。その結果、ネズミ類やリス類では森林タイプ間で修正窒素同位体比が有意に異なるものの、その傾向はツパイ類では認められなかった。また複数種のネズミやリスにおいて、修正窒素同位体比と開空度とに有意な正の相関が検出されたが、ツパイではその傾向がないことが明らかになった。 焼畑直後の森林を除けば、環境が異なる森林タイプ間でも全体的な小型哺乳類組成に違いがないこと、樹木が少なく明るい環境の森林ほどリスやネズミの修正窒素安定同位体比が高くなること、哺乳類のプロット問移動は観察されなかったことから、(1)ランビル周辺で見られる土地利用に伴った景観変化が小型哺乳類相へ与える影響は少なく、焼畑から5-6年の間隔をおけばかなり回復すること、(2)環境の変化には餌メニューを柔軟に変化させ、明るい環境では昆虫などの一次消費者をより多く摂取することで対応していること、(3)しかしこの餌資源利用様式の変化は元々昆虫食に偏っているツパイでは起こらないことが推察される。調査地で見られるような、様々なタイプの小さい森林パッチがモザイク状に連続的に分布していることが小型哺乳類群集を支えているのかもしれないが、ネズミやリスの餌資源利用様式が変われば種子の食害圧や種子散布様式も変化しうるため、植物の更新動態も合わせて調査する必要がある。
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Research Products
(4 results)