2005 Fiscal Year Annual Research Report
モデル植物シロイヌナズナの高DNAメチル化表現型を示す変異体の選抜と解析
Project/Area Number |
04J06163
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
佐瀬 英俊 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 特別研究員SPD
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Keywords | Epigenetics / DNA methylation / Arabidopsis / Histone modification |
Research Abstract |
研究課題の2年目である本年度は、当初の申請計画通りに初年度に単離されたシロイヌナズナ高DNAメチル化変異体の候補の中から有望な変異体について、表現型を引き起こしている原因遺伝子を連鎖解析によって同定することを試みた。一つの候補変異体ではシロイヌナズナゲノム中のある特定の内在性トランスポゾンの近傍配置に高DNAメチル化が引き起こされることが観察されている。この変異体と他系統の交配から得たF2植物およそ1100個体について遺伝的多型マーカーを用いて遺伝子マッピングを行い、原因遺伝子をシロイヌナズナ第3番染色体のおよそ144kbの領域内にマップした。この領域にはおよそ40のORFがコードされていたが、シークエンス解析から変異体ではこれらのORFの一つにコードされる遺伝子に一塩基置換が生じ、その結果一残基のアミノ酸変異を引き起こしていることを見いだした。この遺伝子の変異が高DNAメチル化を引き起こす原因となっているかを確認するために、シロイヌナズナの変異体コレクションから当該遺伝子に外来遺伝子が挿入された遺伝子破壊株を複数入手し解析を行った。その結果、これらの変異株でも内在性トランスポゾンの近傍に高DNAメチル化が確認された。また、これと平行してRNAiを利用した当該遺伝子のKnock-down系統も作製しており、さらなる表現型の解析を行っている。 この変異株はF2分離集団で表現型がおよそ1/4で観察されることから、loss-of-function型の変異と考えられる。同定された原因遺伝子はおよそ1000アミノ酸をコードする新規の遺伝子であり、哺乳類から植物まで幅広く保存された機能ドメインを持つことが分かっているが、DNAメチル化との関与についてはこれまでのところ報告がなされていない。この変異株は発生段階でも様々な形態異常を示しており、ゲノム上の複数の遺伝子座が影響を受けていることが推察される。現在、当初の研究計画に基づいてより詳細な解析を行っている。
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