2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06173
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
平本 正輝 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経回路 / 発生 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
軸索内局在による位置情報の形成 中枢神経系は他の器官と異なり、繊維の束が構造の多くの領域を占めている。この様な器官において、発生プログラムに必要な空間的情報を作り出すには、転写レベルの制御だけでは不十分である。これは根源的な問題であるが、これまであまり注目されていなかった。ショウジョウバエの中枢神経系では、多数の軸索ガイダンス分子の受容体が軸索内の一部に局在する事が知られている。今回、この局在が神経線維の軌跡の位置を決めるために重要な役割を果たしている事を発見した。 受容体によるリガンドの捕捉を抑制する事が、リガンドの空間的分布の認識を可能にする 分泌性分子によって細胞が誘導される様な細胞運動を行う場合、誘導を行う分泌分子が誘導される細胞の受容体に捕捉される現象が起こる。この"捕捉"は、細胞誘導を以下の様に妨げると考えられる。1.誘導を行う分泌分子の空間的分布を撹乱する。2.受容体がこの分泌分子によってマスクされる事で、空間的分布を認識する事ができなくなる。これまで1の問題を扱ってきたが、今回2の問題にかかわる現象を捉えた。軸索ガイダンス分子ネトリンの受容体であるUnc5はネトリンを反発物質として認識する受容体であるが、ネトリンを捕捉する事を抑制する機能がある事を発見した。この機能はUnc5の細胞外ドメインにあり、キメラ解析によりこの機能とネトリンの空間的分布を認識する能力に強い相関がある事がわかった。細胞がガイダンス分子の空間的分布を認識するメカニズムは大きな謎の一つであるが、今回の発見により新しい視点が開かれた。
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Research Products
(1 results)