2004 Fiscal Year Annual Research Report
重度身体障害者と家族の地域生活支援に関する調査・実証研究
Project/Area Number |
04J06203
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
土屋 葉 お茶の水女子大学, 文教育学部, 特別研究員PD
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Keywords | 障害者 / 所得保障制度 / 障害基礎年金制度 / 生活保護制度 / 家族 |
Research Abstract |
1.障害をもつ人の地域生活について、マクロレベルでの生活実態を把握するための枠組みづくりを行った。とくに所得保障に焦点化したが、その理由として、障害者の所得保障にかんして1980年代から多くの問題点が提示されているが、現在まで解決されないままに残されていること、また、所得保障にかんする研究はきわめて手薄であり、実態把握についてはほとんど行われていないことがある。昨年に引きつづき、身体、知的、精神障害者あわせて18名へのインタビュー調査から得られたデータをもとに、所得保障制度の活用実態と制度への意味づけを分析した。この結果、年金額の水準の問題が確認され、さらに社会福祉サービスとの関連で生じた問題と住宅にかかわる問題が、生活保護受給の要因であることが明らかになった。これらから障害者の地域生活を支援するためには、スティグマ的な意味をもつ生活保護ではなく、基礎年金を核とし住宅保障や介助保障を組みあわせた所得保障制度が有効であると結論づけた。上記は第52回日本社会福祉学会において報告し、同学会誌へ投稿した(査読中)。 2.ミクロレベルでの「障害者家族」の経験を明らかにするために、障害をもつ人とその家族へインタビュー調査を行った。とくに、「障害をもつ親とその子ども」を対象とし、インフォーマントへのインタビューを行った。今年度は記録を作成しまとめたところで終了したが、家族全体をふくめた分析については来年度以降すすめていき、随時学会にて報告、学会誌へ投稿していく予定である。 3.障害者の地域生活を実践している事例をふまえつつ、暮らしに密着した地域福祉と、地域における福祉と保健・医療の連携について考察した論考を発表した(「生活と福祉」)。また、障害者の地域生活移行への大きな要因となっている「性」の問題について考察した(「障害をもつ子どもの性をめぐる問題構成」)。
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Research Products
(2 results)