2004 Fiscal Year Annual Research Report
エントロピーの非加法性に由来する統計的複雑量の研究
Project/Area Number |
04J06225
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山野 拓也 お茶の水女子大学, 理学部, 特別研究員PD
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Keywords | 非加法的統計力学 / 統計的複雑量 / エントロピー |
Research Abstract |
本研究課題において、本年度得られた成果は、専門雑誌への発表と国際会議及び国内研究会での発表という形で公表した。 前年までには、Tsallisエントロピーを用いた統計的複雑量なる量を新たに定義し、その数学的性質を調べることを行っていた。Tsallisエントロピーは非加法的統計力学で用いられる加法性を持たないエントロピーとして知られるているが、これを用いた一つの統計的複雑量を提案したのは本研究がはじめてであるので、本年度はこの統計的複雑量の応用として時系列解析への適用を試みた。モデルとして、常にカオス領域にあるようにチューニングされる結合したロジスティック写像により個人の意思決定が決まる社会集団のモデルを考案した。この写像により生成される3値非線形時系列から確率分布を作ることにより非加法的エントロピーを計算した。このモデルの解析と複雑量の振る舞いこれらの結果は、2004年11月にベネチアで行われた国際会議及び京都大学での国際会議において発表し論文公表した。また、Tsallisによる非加法的エントロピーはShannoエントロピーの1パラメータ拡張であるが、確率分布から構成される情報量から非加法的なエントロピー族を作る方法について考察し、論文公表した。ここ2年程、一般化エントロピーの安定性解析として議論されているいわゆるLesche条件について考察した。エントロピーを作る確率分布の微小変分による安定性条件と熱力学的な安定性条件についての対応からLesche条件を満たすか否かが一般化エントロピーの妥当性を保障するかどうかについて議論した。これらの結果をPhysics Letters Aに公表した。
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Research Products
(5 results)