2006 Fiscal Year Annual Research Report
エントロピーの非加法性に由来する統計的複雑量の研究
Project/Area Number |
04J06225
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
山野 拓也 国際基督教大学, 社会科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | エントロピー / 複雑性 / 経済物理 / 非加法性 |
Research Abstract |
8月より一ヶ月間ライプチヒ大学の共同研究者のもとに研究滞在し、格子上の投票者モデルを用いた、計算機シミュレーションによる研究について打ち合わせを行った。その後発展させてこの結果を2007/03/26-30にレーゲンスブルク大学で行われたドイツ物理学会にて"Voter model on lattices with a single antiferromagnetic bond"として発表した。 本研究課題となっている統計的複雑量は、加法性を持つエントロピーの非加法的な拡張であるが、その性質の理解を深めるため、情報理論が基礎とする確率分布により定義される情報量から出発して従来のエントロピー及び非加法的なエントロピーをも含むエントロピー族の生成法に関して考察し、エントロピーの安定性議論についての新しい知見をまとめ国際会議NEXTsigmaphiにて発表し、Physica Aに論文として公表した。Superstatisticsという温度場の揺動性を取り入れた統計力学形式について、国際会議CN-Kyotoで発表した内容をProg.Theor.Phys.Suppl.として公表した。 2006年11月23日から3日間国際基督教大学で開催された国際会議Econophysics Colloquium 2006に組織委員として加わり準備・運営を行った。この会議において行動経済学で用いられる、プロスペクト理論の価値関数の性質について得た結果を"Value functions in prospect theory as growth curves"として発表した。 リュービル方程式を満たす確率分布関数について一般化相対エントロピーが保存するという事実から量子情報理論におけるno-cloning定理の古典版が議論されている。これを対称q-微分をある量に作用させることによって得られる一般化相対エントロピーで計算した。またヒルベルト空間上の種々のメトリックを微小変化に対して求めた結果を2007/03/26-30にレーゲンスブルク大学で行われたドイツ物理学会にて"An information distance and classical no-cloning theorem"として発表した。
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Research Products
(3 results)