2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本の農業関連企業による農産物調達の国際化と対日輸出産地の形成
Project/Area Number |
04J06311
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 拓也 九州大学, 大学院・経済学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | アグリビジネス / 日本商社 / 鶏肉調達戦略 / 海外調達拠点 / 中国沿岸部 / 山東省 |
Research Abstract |
本年度は,日本の農業関連企業(アグリビジネス)がどのように農産物の海外調達を進め,いかなる戦略に基づいて海外調達拠点を形成してきたのかを分析した。その分析事例として,日本商社による鶏肉の海外調達を取り上げた。さらに分析対象としては,1990年代以降に鶏肉の海外調達を顕著に進めてきた住金物産株式会社,伊藤忠商事株式会社,丸紅株式会社の3商社に着目して実証分析を試みた。 分析の結果,これら3商社が1980年代まで鶏肉調達拠点であったタイに代わって,1990年代に鶏肉調達に関する直接投資を中国にシフトさせてきたことが明らかとなった。各商社の鶏肉調達戦略を詳細に見ると,従来の研究で強調されてきたコスト要因のみを重視しているのではなく,1.調達先の多元化によるリスク分散,2.調達品目の多様化による消費細分化への対応,という多面的な戦略に基づいていることが明らかとなった。 その帰結として,これら3商社の調達拠点が,鶏肉製品の調達条件が最も整備された中国沿岸部の山東省に集中化する傾向が確認された。実際,1999年時点の中国における鶏肉の対日輸出処理場の分布を見ると,全処理場の50%以上に当たる処理場が山東省に集中しており,調達拠点の空間的集中化が顕著に認められた。 このように,日本商社は鶏肉調達拠点を形成するに当たって,低コスト調達のみならず,調達量のリスク分散,調達品目の多様化を重視しながら,調達先の選択を進めてきたといえる。
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Research Products
(1 results)