2004 Fiscal Year Annual Research Report
文献学的方法による変光星と突発天体の探査及びそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
04J06332
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Research Institution | Kyushu University |
Research Fellow |
藤原 智子 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 変光星 / 突発天体 / 恒星表 / 恒星図 / 天文学史 |
Research Abstract |
研究内容として、現在中心に行っているものは以下の二つに大別される。 まず、星表からの天文記録の抽出として、Almagest (AD2世紀)を始めとする7つの星表のデータを比較検討した。この2000年の間に記録された等級データを辿る事により、長期間変動をしている可能性のある星を抽出し、その変光メカニズムの解明に向け研究を行った。一番変光の大きかったαSgrは現在の観測で星周円盤が原因の赤外超過が見つかっているVega-like星である事が分かっている。そこで他のVega-likeな天体の等級変動と比べたところ、αSgrの変光は星周円盤に起因するものではない事が分かった。この結果を日本天文学会秋季年会(岩手大学)で発表した。次に星表に記録されている恒星のスペクトル型・光度階級毎の等級変化の違いを調べた。その結果、等級変化は恒星のスペクトル型や光度階級に影響されていない事が分かった。これについては日本天文学会春季年会(明星大学)で発表する予定である。 星図からのアプローチも同時進行している。今まで東アジアの星図には等級の記録を残すものはないとされてきたが、江戸時代に編纂された星図の中に、等級の記述があるものを発見した。日本国内で保存されている未研究の星図を詳しく調査した結果、等級の記録がある3種の星図がお互いに酷似している事が分かった。海外(フランス国立図書館など)で保存されている東アジアの星図も同時に調査を行ったが、当時宣教師が作成した星図とは全く類似しない。そこで星図の来歴やオリジナルのデータを調べる為、国内で保存されているこの3種の星図から、記録されている全ての恒星の等級などを抽出した。統計的な解析により、これらの星図はそれぞれ独自の観測に基づくものではない事が判明、現在は星図の詳細な来歴とオリジナルのデータを決定する解析を進めており、その結果を論文としてまとめている最中である。
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Research Products
(1 results)