2005 Fiscal Year Annual Research Report
文献学的方法による変光星と突発天体の探査及びそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
04J06332
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Research Institution | Kyushu University |
Research Fellow |
藤原 智子 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 変光星 / AGB星 / 天文アーカイブ / 歴史的星表 / 歴史的星図 |
Research Abstract |
現代の天文アーカイブではカバー出来ない古い時代の天体の記録を知るため、歴史的星表、星図を使って恒星の等級データを抽出し、解析した。歴史的星表は紀元2世紀のPtolemaiosによるAlmagestをはじめとし、7つの観測データを用いた。これらの記録についての評価を、昨年度に引き続き行い、論文として発表した。しかし、恒星の長期的変動を調べる上で、7つの星表のデータだけでは詳細な光度変化をとらえるのが不十分であるため、今年度はこれらのデータに歴史的星図のデータを加えるため、調査研究を行った。 歴史的星図については、日本で江戸中期に編纂された星図「赤道南北恒星図」が3組残っていることが分かり、昨年度から解析を行っている。今年度は新しく発見された5組を加え、全8組の星図について等級データの解析をした。これらの星図は中国にてイエズス会宣教師たちが行った観測をもとに、1756年に出版された「儀象考成」のデータを参照して作成されていることが分かった。この結果については、2005年7月に中国北京で行われたXXII International Congress of History of Scienceで口頭発表を行った。次に赤道南北恒星図の原図や派生関係についての考察を行い、2006年1月に国立天文台三鷹で行われた天文学史研究会で結果を報告した。 これらの歴史的星図の文献学的研究と平行して、観測データとしての評価が済んでいる星表、星図を使って変光星の天体物理学的研究も行った。特にAGB星については、化学組成やスペクトルの線輪郭から、星がABGのどの段階にあるかを決定し、理論との突合せを行う研究が過去盛んにされてきているが、進化のタイムスケールである100年を超える長期的な変動については、まだ研究されていない。本研究ではABG星としてよく知られ、歴史的な文献に記録されている天体として19 PscやY CVnなど8天体を選択し、過去の光度変化を調べ、現代の測光、分光観測の結果と比較した。この結果については2005年10月に行われた日本天文学会で発表した。
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Research Products
(3 results)