2006 Fiscal Year Annual Research Report
文献学的方法による変光星と突発天体の探査及びそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
04J06332
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Research Institution | Kyushu University |
Research Fellow |
藤原 智子 九州大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 変光星 / 突発天体 / AGB星 / 歴史的星表 / 歴史的星表 / 可視光分光観測 |
Research Abstract |
変光星と突発天体の過去の光度変化を知るため、近代の測光観測が始まる以前の記録として歴史的文献の調査、評価を行った。まず、去年度に引き続き文献学的研究として日本で江戸中期に編纂された「赤道南北恒星図」を調査した。新たに発見されたものを加え、全9組の星図について等級データの解析によりその派生関係を調べた。この結果は第26回国際天文学連合(IAU)総会で発表した。 次に調査が済んでいる歴史的文献を使って、突発天体の探査を行った。印刷物として出版された星図としては最も初期のものであるBayerの「Uranometria」を現在の星図と対照した結果、15個の未同定天体を発見し、このうち3つは超新星などの突発天体であることが分かった(2006年日本天文学会秋季年会で発表)。 更に変光星として未解明の部分が多いAGB星について歴史的星表、星図を使って、光度の時間変化を調べた。中小質量星の進化の最終段階であるAGB星は、数百年〜数千年以上のタイムスケールで変動することが理論的に予想されているが、これを観測的に捉えるため、スペクトル型がC、S型と分類されている星についての記録を調査した。その結果、19Pscと57Pegがここ数百年で増光していることが確認された(第26回国際天文学連合(IAU)総会で発表)。19Pscについては既に得られている観測結果と照合し、Thermal Pulseを起こしている事を確認した(2006年日本天文学会秋季年会で発表)。57Pegについては観測データを取得するため、兵庫県立西はりま天文台2mなゆた望遠鏡で高分散分光観測を行い、s-processで生成される元素の一つとしてTc Iの吸収線を調べたが確認出来ず、AGBとしては初期段階の可能性があることが分かった(2007年日本天文学会春季年会で発表)。更にAGB星から惑星状星雲への遷移過程についても研究を行った。前期惑星状星雲としてカタログ化されている天体について、歴史的星図を使って記録を調べた結果、8つの候補天体を発見した。この結果は2007年日本天文学会春季年会で発表する。
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Research Products
(5 results)