2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06357
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川端 裕寿 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究院(PD)
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Keywords | 不斉反応 / アジリジン化反応 / スルフィミド化反応 / C-Hアミノ化反応 / サレン配位子 / サレン-ルテニウム錯体 |
Research Abstract |
窒素官能基の導入は、酸素官能基の導入と共に有用化合物合成の重要な手段であり、選択性の向上と同時に環境への負荷の軽減が強く求められている。本研究では、この目標に向けて、原子効率に優れ高エナンチオ選択的なアジリジン化、スルフィミド化、C-Hアミノ化反応の開発を行う。既に、サレン-マンガン錯体やサレン-ルテニウム錯体が上記の反応を高エナンチオ選択的に触媒することが見出されているが、反応の原子効率、触媒回転数に改善の余地があった。近年、サレン-ルテニウム錯体を用いることによりアジド化合物をナイトレン前駆体として利用することが可能となり、原子効率が著しく改善された。しかし、触媒回転数(TON:36)の向上に関しては新たな耐久性触媒の構築が求められている。最近、サレン配位子のフェニル基が分子内でアミノ化を受け触媒が失活することが明らかにされ、それに基づいてフェニル基の3,5位にフッ素を導入したサレン錯体が合成された。これを用いることによって、アジリジン化の触媒回転数は878回まで改善されているがなお不十分である。 今回、さらに耐久性の高い触媒の開発を目指し、フェニル基の3,5位に塩素を導入した錯体の合成を行った。錯体の調製に必要となる配位子は、3,5-ジクロロベンゼンホウ酸と(R)-ヨウ化ビナフチル誘導体との菌頭カップリング反応を鍵段階としホルミル化、保護基の除去、光学活性ジアミンとの縮合をへて合成した。得られたルテニウム錯体を触媒に用い、p-トルエンスルホニルアジドをナイトレン前駆体とするアジリジン化を行った結果、期待したように触媒回転数の向上がみられ、高エナンチオ選択的に反応が進行することがわかった(TON up to 3426、>99%ee)。本反応は、室温、中性条件下で進行し、生じる副生成物が窒素のみと環境調和性が高い。現在、投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)