2004 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺癌におけるがん浸潤・転移分子を標的とした分子標的治療についての基礎的検討
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04J06392
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
芦塚 慈美 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | YB-1 / 腺様嚢胞癌 / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
本研究代表者はこれまでに抗癌剤耐性に関与する因子として知られるYB-1(Y-box結合蛋白)の機能について検討してきた。本研究では、唾液腺癌の抗癌剤耐性をYB-1蛋白の機能解析により解明すること目的とした。唾液腺癌、特に腺様嚢胞癌は他の口腔癌と比較して抗癌剤抵抗性を示す。この機構を検討する為に間接蛍光抗体染色法、ウェスタンブロット法で唾液腺癌細胞内のYB-1の局在・発現を扁平上皮癌細胞と比較検討し、更にTwo-HybridScreeningにてYB-1と唾液癌細胞内で相互作用する蛋白を同定した。 1,培養唾液腺癌細胞におけるYB-1の局在:ACCS、ACCT細胞におけるYB-1の局在を蛍光抗体染色法にて検討したところYB-1は細胞質に局在していた。また、培養扁平上皮癌細胞(SAS)でもYB-1は細胞質に局在しており、細胞内の発現レベルをウェスタンブロット法にて検討したところ各細胞間で蛋白発現レベルに差は認めなかった。 2,YB-1相互作用蛋白の同定:YB-1と相互作用する蛋白を同定する目的でACCS細胞を用いてcDNAライブラリーを作成した。そのcDNAをpPC86発現ベクターに組み込み、pDBLeu発現ベクターに組み込んだYB-1とともに酵母細胞に遺伝子導入してTwo-Hybridスクリーニングを行ないYB-1相互作用蛋白を検索したところ、転写因子を含む17個の細胞内蛋白が得られた。これらの蛋白の中でもDNA障害性ストレスに関係する蛋白であるNPM蛋白に着目し、GST-pull down assayにてYB-1とNPMのin vitroでの結合を確認した。また、ACCS細胞を用いた免役沈降法でもNPMとYB-1の結合が確認できた。更に現在YB-1の欠失変異体を作成してNPMとYB-1の結合部位の同定を進めている。 3,DNA障害性ストレス下での局在:培養唾液腺癌細胞(ACCS)内でのDNA傷害性ストレス下でのYB-1、NPMの局在を間接蛍光抗体染色法を用いて検討したところNPSは通常核小体に局在しているがUV照射後には核質に局在していた。一方YB-1は通常細胞質に局在しているがUV照射後には核に移行することが確認できた。現在UV、抗癌剤存在下での両蛋白の相互作用について検討を進めている。
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