2005 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺癌におけるがん浸潤・転移分子を標的とした分子標的治療についての基礎的検討
Project/Area Number |
04J06392
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
芦塚 慈美 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 抗癌剤耐性 / YB-1 / 腺様嚢胞癌 / nucleophosmin(NPM) |
Research Abstract |
本研究者は昨年度までに抗癌剤耐制に関与する因子として知られるYB-1(Y-box結合蛋白)の唾液腺癌における機能について検討してきた。唾液腺癌細胞内でYB-1と相互作用する蛋白を同定する為、昨年度唾液腺細胞のcDNAを用いてtwo-Hybridスクリーニングを行なった結果YB-1結合蛋白としてNPMを得た。NPMは腫瘍細胞に多く発現しており細胞周期調節、細胞増殖調節機能を持つこと、DNA障害性ストレスに関与することが報告されている。本研究者は既にHis融合NPM蛋白を作製し、YB-1のGST融合蛋白を用いてGST pull down assayでin vitroでの結合を確認した。本年度は更に、YB-1とNPMとの結合部位を同定し、その相互作用について検討した。 1,YB-1及びNPMの相互作用部位を欠失変異を作成して同定した。 今回GST-YB-1の機能ドメインに従って、C末ドメイン、Cold shockドメイン(CSD)、N末ドメインの3種を含む7種類の欠失変異蛋白を作成しNPMとの結合部位をGST pull down assayで同定したところ、NPMはYB-1のN末ドメイン及びCSDと結合した。更に現在NPMの欠失変異蛋白を作成中でありYB-1との結合部位を検討予定である。 2,免疫沈降法を用いてYB-1とNPMとの細胞内での結合を確認した。 腺様嚢胞癌細胞の抽出タンパク質を用いて、免疫沈降法によるYB-1とNPMとの細胞内での結合を確認した。更に、腺様嚢胞癌細胞ACCSをUVで刺激し、DNA障害性ストレス下での各蛋白の蛋白量をウェスタンブロット法にて検討したところ、NPMは照射量依存的に蛋白量が増加したのに比してYB-1の蛋白量は変化しなかった。しかし、UV照射後の両蛋白の結合はUV照射量依存的に増加した。 3,培養唾液腺癌細胞におけるYB-1及びNPMの局在:ACCS、ACCT細胞におけるYB-1の各ドメインの局在をN末認識抗体及び蛍C末認識抗体を用いて蛍光抗体染色法にて検討したところYB-1 N末ドメインC末ドメインともに細胞質に存在するがUV照射後にはC末は細胞質に局在するのに対し、N末は核に移行するのが確認された。更に、UV照射時のYB-1とNPMはco-localizeすることを確認した。更に現在NPMを唾液腺癌細胞内に遺伝子導入して高発現させており、今後細胞の抗癌剤に対する耐性、YB-1の局在様式について検討する予定である。
|