2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳由来神経栄養因子による抑制性神経伝達の修飾;発達変化を規定する分子基盤の解明
Project/Area Number |
04J06398
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
溝口 義人 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脳由来神経栄養因子 / GABA_A受容体 / 大脳皮質視覚野 / PRIP / 海馬 |
Research Abstract |
脳由来神経栄養因子(BDNF)の抑制性神経回路に対する可塑的変化に近年注目が集まっており、未熟期のラット大脳皮質視覚野においてBDNFはPLC系活性化後、細胞内から膜表面へGABA_A受容体を挿入(insertion)しGABA応答を増強することが報告されている。また我々は成熟期のラット大脳皮質視覚野においてBDNFは膜表面から細胞内へGABA_A受容体を取り込み(internalization)、GABA応答を抑制することを見いだした。このようにBDNFがPLC系活性化後、膜表面GABA_A受容体数を増減してGABA応答を調節する可能性が示唆されている。研究課題について下記の新たな知見が得られた。 1.GABA_A受容体のinsertionとinternalizationのメカニズム、特にGABA_A受容体の細胞膜-細胞質輸送系の分子基盤解明。 未熟期でのBDNFによるGABA応答の増強にPLC系活性化後、protein kinase C(PKC)の活性化が関与することを明らかにした。一方、成熟期でのGABA応答の抑制にはPLC系活性化後、protein phosphatase 1/2A活性化が必要であった。さらに生直後から暗室飼育したラットの大脳皮質視覚野においてBDNFはPLC系活性化後、PKCを活性化し膜表面へGABA_A受容体をinsertionした結果、GABA応答を増強した。BDNFのGABA応答修飾の発達変化および視覚経験依存性に細胞内機序のスイッチングが関与する可能性を示唆した。 2.輸送系の発達変化。特に海馬と大脳における発現の変化(time window)の違いおよび、大脳皮質視覚野を用いて視覚経験による発現調節の検討。 海馬と大脳皮質視覚野でのBDNFによるGABA応答の抑制に、PRIP活性化およびPRIPのGABA_A受容体への結合が関与することを明らかにした。BDNFのGABA応答修飾の発達変化および視覚経験依存性にPRIPが関わる可能性が高い。
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Research Products
(1 results)