2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア・プレ配列レセプターTom20によるプレ配列認識の構造的基盤
Project/Area Number |
04J06414
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
帯田 孝之 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | X線結晶構造解析 / ミトコンドリア / Tom20 |
Research Abstract |
ミトコンドリアのマトリックスタンパク質は細胞質で合成された後、ミトコンドリアに輸入される。ミトコンドリアには輸送を司るタンパク質複合体が存在し、なかでもTom20は外膜上に存在してプレ配列に最初に結合する受容体として機能している。マトリックスタンパク質はN末端にプレ配列が余分に付加した前駆体蛋白質として合成されるが、Tom20がプレ配列を認識することで輸送過程が始まる。このTom20分子による詳細なプレ配列認識機構を解析するために、NMR構造をもとにフレキシブルなN末端とC末端を除いたコア構造に対応するTom20coreを作製し、X線結晶構造解析を行った。Tom20coreとプレ配列(アルコール脱水素酵素由来:ALDH)との結合は弱いため、プレ配列のC末端に人為的に導入したシステインを介してSS結合を形成させたTom20core-プレ配列複合体の結晶化を行った。Tom20coreは大腸菌BL21(DE3)を用いて発現させ、GS4Bカラムにより精製した。ALDHプレ配列はペプチド台成し、逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。Tom20coreとALDHプレ配列をpH8.0にて混合後、一晩室温に静置することによりSS結合を形成させた。その複合体を用いて結晶化を行い、最終的に分解能1.9Åの結晶を得ることができた。この結晶は空間群P2_1で非対称単位中に2分子が含まれていた。NMR構造をサーチモデルとして,分子置換法により複合体の構造を決定した.NMR構造(溶液中、分子間SS結合なし)と比較すると、Tom20core部分はほぼ同一であった(rmsd<2.5Å)。プレ配列ヘリックスの位置と方向はNMR構造と結晶構造でよく重なった。Tom20に認識される部分のペプチド配列(R^<14>LSRLL^<19>)はαヘリックス構造をとることがわかった。
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