2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規脂質ラフト局在分子Raftlinの抗原受容体シグナルにおける機能解析
Project/Area Number |
04J06416
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 和子 (佐伯 和子) 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ラフト / 脂質 / B細胞 / T細胞 / 樹状細胞 / 遺伝子ターゲッティング / Th17 / サイトカイン |
Research Abstract |
raftはスフィンゴ脂質やコレステロールを主成分とする細胞膜上のマイクロドメインで、リンパ球のシグナル伝達の場として機能する。我々はこれまでに、ヒトB細胞株(Raji)のraft分画をプロテオーム解析し、raft分画に大量に局在する新規分子Raftlinを同定し、B細胞受容体の至適なシグナル伝達に重要であることを示した。今回、個体での機能を解明するため、Raftlin遺伝子欠損マウス(KOマウス)を作製した。KOマウスはメンデルの法則に従って誕生し、外見上に顕著な異常は認められなかった。Raftlinは正常マウスの脾臓及び胸腺で強い発現が認められることから、KOマウスのリンパ球を中心に解析を行なった。胸腺でのT細胞の発達や骨髄、末梢でのB細胞の分布は異常なく、DNP-KLH/AlumやTNP-Ficollによる免疫後の抗原特異的抗体産生能は正常であった。しかしKOマウスの脾臓は野生型に比べ小さく、T細胞、B細胞ともに細胞数が有意に減少していた。特に、生後1年以上の高齢マウスでは脾臓、リンパ節、バイエル板の矮小性が顕著であった。次に若年マウスを用いてT細胞応答を検討した。抗原による免疫のあるなしにかかわらずT細胞の増殖及びサイトカイン産生が野生型に比べ低下していた。さらに、OVA免疫による抗原誘導性気道過敏モデルにおいては肺胞中のサイトカインの産生量が低下し好酸球及び好中球の浸潤が野生型に比べ抑えられていた。またT細胞受容体刺激による細胞内蛋白質のチロシンりん酸化も低下していた。つぎにRaftlin欠損樹状細胞によるT細胞の活性化について検討したところ、Raftlin欠損樹状細胞はIL-12などのサイトカイン産生能が低く、特にTH17の分化誘導が減少していることが明らかとなった。以上の結果から個体においてはRaftlinは抗原提示細胞とT細胞受容体からの適正なシグナル伝達に重要であることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)