2004 Fiscal Year Annual Research Report
ハワイ日本人移民女性の社会史-移民体験によるジェンダー観の変容過程を中心に
Project/Area Number |
04J06485
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 なつき 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | ハワイ / 移民女性 / 渡米出版物 / ジェンダー観 / アメリカ像 / 離婚訴訟 / 渡米熱 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
日本人移民女性のジェンダー観の変容過程をより明確に把握するため、明治中期頃から出版されていた渡米出版物を主な資料として、移民前に女性たちがアメリカに対して抱いていたイメージに関する考察を行った。渡米奨励者側は、在米日本人移民社会発展のために必要な存在としてビクトリア的女性像を理想とする女性の渡米を奨励すると同時に、男性同様大学に進出し、また様々な職業についている女性たちの姿や、女性を大事にするレディ・ファーストの国としてのアメリカを紹介していた。女性も、男性同様アメリカへの憧れを抱き、渡米熱が男性の間だけでなく、女性の間にも広まっていたことを明らかにすることができた。 ハワイでの現地調査では、ハワイ日本人移民史研究家であるバーバラ・カワカミ氏から、彼女が20年程前に行った日本人移民女性とのインタビュー・テープを聞かせてもらい、またその一部をコピーさせてもらうことができた。今では直接聞くことのできない一世女性たちの声をオウディオ・テープとはいえ聞けたことは、女性たちに関する様々な史実を再確認できただけでなく、自分自身の研究課題に対する姿勢に大きな影響を与えてくれた。 又、1918年に日本人によって訴訟された離婚裁判記録を収集し、ハワイ日本人移民が定住傾向にあった時代にも日本人離婚率は高く、訴訟は女性のみならず男性からも行われていたことが判明した。これら史料を読むと、夫の暴力が原因である場合は、離婚後夫は妻及び未成年の子供に対して扶助料を支払う義務があったことや夫の家族扶養義務が厳格に定められていたことが、日本人移民女性に離婚を決意させたことに繋がっていると考えられる。
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Research Products
(1 results)