2004 Fiscal Year Annual Research Report
血流を摸した分岐・合流部を有する異径弾性管内脈動流れに関する基礎研究
Project/Area Number |
04J06525
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江口 崇 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 脈動流 / 剛体分岐管 / 弾性分岐管 / 壁せん断応力 |
Research Abstract |
動脈硬化症には、血管内皮細胞にかかる壁面せん断応力などの流体力学的因子が、発生要因のひとつとして考えられている.しかしそのような流体力学量と病変の関連については未だ決定的な理解には至っていない.このような現状を踏まえ、本年度は動脈硬化症好発部の一つである分岐部をモデルとしたY字管での脈動実験および数値解析から、流れ場の詳細を明らかにすることを目的とした. 本年度、得られた主な知見は以下の通りである. 1.剛体・弾性Y字管での、同Typeの脈動流量波形実験より、内部流れの相違について検討を行った.その結果剛体管において、減速期に生じていた逆流領域が、弾性管では時間的・空間的にも軽減されること、また分岐内側・外側の速度差による流れの不安定性も小さくなるという結果を得た.それらには、管内圧力変動による弾性管壁の変動が影響していることを明らかにした. 2.剛体Y字管において、壁面近傍の流速から壁面せん断応力の分布および周期的変動を計測した.その結果、分岐内側・外側双方とも流れの方向が変化する分岐点付近においてせん断応力が高く、下流にいくに従い減少する.また分岐内側のせん断応力の周期変動は流量波形に対応しているのに対し、分岐外側では特に減速期でのせん断応力の減少が顕著であるということが分かった. 3.実験と平行し、実験に合わせた流れ場の数値解析から剛体Y字管モデルを対象とした内部流れの実験との比較を行った。数値解析の結果は高せん断の箇所、変動および速度分布に関して、実験結果と定性的に一致しており、また実験では計測困難な箇所のせん断応力、限界流線等の算出が可能となった. 来年度は、以上で得られた知見に加え、管弾性を考慮した数値解析および実験から動脈硬化症との対応等を詳細に調査する予定である.
|
Research Products
(2 results)