2004 Fiscal Year Annual Research Report
大気-海洋間における二酸化炭素交換速度の評価に関する研究
Project/Area Number |
04J06567
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Research Institution | Kyushu University |
Research Fellow |
津守 博通 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 気体交換速度 / 二酸化炭素 / 風波 / 海面境界過程 |
Research Abstract |
風波気液界面における二酸化炭素(CO_2)交換速度の評価法について実験的に検討した.風洞水槽を用い,吹送距離ごとに気流側CO_2濃度と風速の鉛直分布を測定し,プロファイル法から局所的なCO_2フラックスを算定した.水側の溶存CO_2濃度測定には疎水性多孔質膜チューブから成る気液平衡器を用いた.これらの測定値から,風波気液界面における気体交換速度を吹送距離ごとに算定した.気体交換速度は摩擦速度とともに増大し,同じ摩擦速度に対しては吹送距離が大きいほど増加した.また,次元解析に基づいて吹送距離を考慮した気体交換速度のパラメタリゼーションを行い,無次元気体交換速度の評価式を構築した.実験データに基づく解析から,気流側の摩擦速度で無次元化された気体交換速度は,無次元吹送距離の1/2乗と風波クーリガン数の1/3乗の積に比例することが示された。さらに,吹送距離則に基づいて無次元吹送距離を無次元風波エネルギーまたは波風径数に変換し,局所的な風波パラメータのみで表示された気体交換速度の評価式を求めた. 室内実験で得られた気体交換速度の評価法の現地適用性について検討するために,海洋観測塔においてCO_2交換速度の現地観測を行った.観測では,超音波風速計と大流量エアーサンプリングシステムを用いて渦相関法から大気-海洋間のCO_2フラックスを算定し,疎水性多孔質膜チューブから成る気液平衡器を用いて海水中の溶存CO_2濃度を計測した.また,同時にWAVEADCPによる波浪観測も行った.今回の観測は,低風速の条件下の観測であったため,データのばらつきが若干大きいものであった.しかしながら,比較的風速が高いデータについては,室内実験で得られた普遍表示手法に基づく気体交換速度の風波パラメータ依存性が近似的に成立した.このことは,室内実験と同様の定量化手法が現地に対しても有効であることを示唆していると考えられる.
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Research Products
(7 results)