2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミック・コンビ化学を用いたテーラーメイド型糖質バイオセンサーの開発
Project/Area Number |
04J06578
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中田 栄司 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質エンジニアリング / Bio-orthogonalな有機化学 / レシオメトリー / 蛍光性バイオセンサー / アフィニティーラベル化 / 光アフィニティーラベル化 |
Research Abstract |
我々が開発した「光アフィニティーラベル化後修飾法(P-PALM)」は、タンパク質の活性中心近傍に部位特異的に非天然分子を導入できる手法である。初めにその有用性を試した糖結合性タンパク質(レクチン)の一種であるコンカナバリンA(Con A)では、様々な人工分子を導入することで、目的の機能を付与した蛍光性バイオセンサーへと機能変換することに成功している。 本年度は、我々がP-PALMで用いたチオール化学とは直交性(orthogonality)を有する高選択的アミノ基修飾法を開発し、これらを組み合わせることでそれぞれ単独では達成できない高機能化を達成できると考え、取り組んだ。具体的には、Con A一分子上に蛍光色素を二重修飾したCon A(AMCA-Fl-Con A)の調整に成功し、その機能評価をおこなった結果、Con Aの糖結合挙動をレシオメトリーで検出可能な蛍光性糖質バイオセンサーへと機能変換できたことを確認した。また、その特性を生かした様々な応用を検討し、糖切断酵素の反応追跡・細胞内・外における糖質のイメージングなどをおこなうことに成功している。この応用例は、従来の一分子の蛍光色素修飾では達成困難であり、本系のようにorthogonalityを有するタンパク質修飾法を併用することで初めて達成できる。本系はその有用性を示した先駆的な研究である(JACS 2005)。 その他にも、ランタノイド金属が有する長い発光寿命を利用することで、長寿命かつレシオメトリーで糖認識挙動を検出可能なバイオセンサーの構築(ChemBioChem 2005)にも成功している。さらには、生体内環境下においても用途可能なBio-orthogonalityを有する有機化学としてシッフ塩基の交換反応を利用した「アフィニティーラベル化後修飾法(P-ALM)」を提案し、これをhCAII(JACS ASAP)やSH2 domainなどの蛋白質に対して適応し、人工機能化することにも成功している。特に、SH2 domainに対しては、夾雑蛋白質が多数存在する菌破砕溶液中においても高選択的に機能化することに成功しており、今後、様々な用途での利用が期待される。
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