2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06634
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横溝 裕行 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 保全 / 数理生態学 / 資源管理 / 外来種 / 在来種 / エゾシカ / 絶滅確率 / 狩猟努力 |
Research Abstract |
1.外来種により存続が脅かされている在来種の最適保全戦略 外来種により存続が脅かされている在来種の最適な保全戦略についての数理的研究を行った。在来種の生存率を直接改善する保全努力(餌や隠れ家の供給など)や、外来種の駆除努力の2つの努力の最適努力量を求めた。保全努力と駆除努力は在来種の絶滅確率を下げることができるが、経済的コストを伴う。最適な保全戦略とは、絶滅確率に個体群の価値を表す定数を掛け合わせた値と、保全努力と駆除努力の経済的コストの和を最小化するものと定義した。本研究により、保全努力量と駆除努力量がゼロから正になる境界と、両方の努力が必要な場合における最適努力量を解析的に求めることができた。個体群の価値が大きくなるにつれて、最適保全努力量は大きくなるが、最適駆除努力量はある値以上大きくならないことが示せた。 2.エゾシカ個体群の個体数の将来予測と最適狩猟努力分配 北海道の西部地域と、東部地域のエゾシカの個体群の分布をベイズ推定に基づき求めた。その結果、特に西部地域における個体数の分布の分散が大きく継続的な調査の必要性を明らかにできた。次に、ある狩猟努力(出猟人日)を継続的に行うというシナリオのもとで、将来(1-10年後)の個体数の比(1993年度を1とする)や個体数をある目標値以下に減少させることができる確率を計算した。その結果、最新年度(2002年)の狩猟努力では、2年後における両地域共に目標値を達成する確率が2%以下であることが示せた。また、狩猟努力量が一定としたときに、西部地域と、東部地域への狩猟努力の最適配分(目標値の達成確率の最大化)をコンピュータシミュレーションにより計算を行った。この計算から、狩猟努力を現在の配分と較べて、東部地域により多くの狩猟努力を分配するのが最適であることが明らかになった。
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