2004 Fiscal Year Annual Research Report
レンサ球菌における硫化水素産生能に関する遺伝子および酵素の機能の解明
Project/Area Number |
04J06650
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
根岸 昌弘 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 揮発性硫化物 / 硫化水素 / 口腔内レンサ球菌 |
Research Abstract |
口臭の主要な原因物質は、硫化水素などの揮発性硫化物であり、呼気中に含まれる揮発性硫化物の約90%は、硫化水素とメチルメルカプタンであると言われている。その揮発性硫化物を多く産生する菌として、Porphyromonas gingivalisやF.nucleatum歯周病細菌が知られており、システインを基質として硫化水素を産生することが分かっている。 本研究では、口腔内細菌の多くを占めるレンサ球菌に着目し口臭と口腔内レンサ球菌との関連を調べる目的で、口腔内に存在する種々のレンサ球菌の硫化水素産生能を比較した。まず、6種のレンサ球菌(S.anginosas, S.salivarius, S.sobrinas, S.oralis, S.gordonii)の硫化水素産生能を比較し、S.anginosusが他の菌種よりも極めて高い硫化水素産生能を有することを解明した。更に、他のレンサ球菌とは違い、S.sobrinusでは開始コドン候補部位が2ケ所あり、周辺の塩基配列によって硫化水素産生能に差違が認められることも判明した。そこで、開始コドン周辺の塩基配列と硫化水素産生能の関係をみるために、S.sobirinusの硫化水素産生に関わる遺伝子(以下lcdと略)の塩基配列に基づいてプライマーを数種類作製した後、PCR法でlcdを増幅し、大腸菌内で組み換えタンパク質を作製した。次に、それぞれの酵素を単離精製し、L-システインとL-シスタチオニンを基質にした際の硫化水素産生能を比較した。また、本来のアミノ酸配列の一部を代えたリコンビナント酵素も作製し、同様に比較した。その結果、S.sobrinusの硫化水素産生に関する酵素が活性を持つためには、N末のアミノ酸配列において、2つの開始コドン候補のうちC末側の開始コドン候補以下のアミノ酸配列と開始コドン候補の直前に3個のアミノ酸が存在することが、必要であると分かった。
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