2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06673
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 大典 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 担子菌 / ヘム結合性タンパク質 / ヘム / 機能プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究では、白色腐朽菌Phanerochaete chrysosporiumの100%酸素下における高いヘムタンパク質(ペルオキシダーゼ・シトクロムP450)合成能に着目し、細胞内ヘム管理機構の目指した、細胞内ヘム結合性タンパク質の網羅的探索を行っている。ビオチン化ヘムを用いてヘム結合性タンパク質を回収しSDS-PAGE解析を行った結果、ヘムに特異的に結合すると思われるタンパク質の存在が確認された。これらのバンドを切り出し、PMF法にて同定した結果、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、クエン酸シンターゼ(CS)、ribosomal protein、2-Cysチオレドキシンペルオキシダーゼが同定された。マラリア原虫において、解糖系の鍵酵素であるGPDは、ヘムと結合することで活性が阻害され、これに伴い炭素代謝が解糖系からペントースリン酸回路へとシフトすることが報告されている。P. chrysosporium細胞内でも同様の制御が働いていることが予想された。今回同定されたタンパク質のうち、CSはこれまでヘムと結合するという報告はない。P. chrysosporium由来CSにはヘム結合モチーフ(Cys-Proモチーフ)配列が存在していた。そこで、ブタ由来クエン酸シンターゼを鋳型としてホモロジーモデリングによ構造解析を行った結果、Cys-Proモチーフ配列はP. chrysosporium由来CSのタンパク質表面に位置することが示されCys-Proモチーフ配列によりヘムと結合することが強く示唆された。また、他種生物由来CSとのアライメント解析の結果から、CS中のCys-Proモチーフは一部の真菌類にのみ保存されていることが明らかとなり、真菌特有のヘムによる細胞内代謝制御システムの存在が示唆された。現在、これらのタンパク質を大腸菌にて発現もしくは細胞内より精製し、機能解析を行っている。
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