2004 Fiscal Year Annual Research Report
量子不変量と普遍摂動的不変量(LMO不変量)の位相的意味付け問題の研究
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04J06720
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗屋 隆仁 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 場の量子論 / 経路積分 / 量子不変量 / 摂動的不変量 / LMO不変量 / 結び目 / 3次元多様体 / Lie群 |
Research Abstract |
1.E. Witten氏はChern-Simons汎関数をラグラジアンとする場の量子論を考え、経路積分で表示された相関関数が三次元多様体の位相不変量を与えることを主張した(まだ数学的に厳密に正当化されていない)。まず、経路積分のオペレーター形式を背景として、単純Lie群Gに付随した三次元多様体の新しい不変量(量子G不変量)が数学的に厳密に構成された。大槻知忠氏やT.T.Q. Le氏は、量子不変量の数論的極限として摂動的不変量を定義した。つまり、摂動的不変量は量子不変量から決まるのであるが、整係数ホモロジー3球面上では、逆に摂動的不変量はすべての量子不変量を決定することが示されている。一方、T.T.Q. Le氏、村上順氏、大槻知忠氏は、経路積分の摂動展開を背景として、任意の有向閉三次元多様体に対し普遍摂動的不変量(LMO不変量)を定義し、LMO不変量は摂動的不変量を再現すると予想した(LMO予想)。この問題は、経路積分から2つのアプローチにより取り出した量が等価であるか?という問題を背景に持ち、非常に重要かつ興味深い問題であった。国際研究集会「International Graduate Course Student Workshop for Knot Theory and Related Topics」、「第51回トポロジーシンポジウム」においてLMO予想の証明を与えた。 2.通常のLMO不変量ではレンズ空間は完全に分類できないことが知られている。研究集会「結び目のトポロジーVII」では、多様体Mとそれ内の結び目Kの対(M,K)へのLMO不変量の拡張を紹介し、それを用いてレンズ空間が分類できることを示した。
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