2004 Fiscal Year Annual Research Report
表面科学的手法によるニホウ化マグネシウム超薄膜の作成とその超伝導特性の研究
Project/Area Number |
04J06746
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白澤 徹郎 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニホウ化マグネシウム / 低速電子回析 |
Research Abstract |
本研究の目的であるニホウ化マグネシウム超薄膜の作成と、その場での低速電子回折(LEED)による構造解析,超伝導特性を評価するために、十分に試料冷却の可能なLEED装置が必要となる。このため、今年度は主に低温LEED装置の改良に取り組んだ。これまでのLEED装置では回折像観察のために、必然的に試料前面を開放しておかなくてはならない。従って放射熱シールドを試料前面に取り付けることができず、到達冷却温度は〜25K程度である。そこで本研究ではLEED光学系を液体窒素温度付近まで冷やすことによって、試料前面部からの放射熱をできるだけおさるようにした。さらに試料ホルダーにも改良を加えた。まずホルダー内部を大きくくりぬいて、寒剤である液体Heをできるだけたくさん溜めれるようにし、さらにホルダーを層状にして、外側は液体窒素,内側は液体ヘリウムで冷却するようにした。これらの改良の結果、約10K程度まで試料冷却が可能になった。また、試料温度を制御できるように、試料加熱用のヒーターをホルダーに取り付け、4端子電気抵抗測定などの試料評価のために複数の電流導入端子を設置した。さらに、この低温LEED装置の動作確認のためにSi(001)試料を用いて冷却実験を行ったところ、試料温度が約40K以下になると、Si(001)の表面構造が変化するという非常に興味深い現象を見いだした。LEEDによるスポット強度変化の詳細な解析の結果、この現象は構造相転移ではなく、低速電子線の照射によるものであることが分かったので、このことを論文にまとめた。
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