2005 Fiscal Year Annual Research Report
表面科学的手法によるニホウ化マグネシウム超薄膜の作成とその超伝導特性の研究
Project/Area Number |
04J06746
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白澤 徹郎 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニホウ化マグネシウム / 低速電子回折 |
Research Abstract |
ニホウ化マグネシウム超薄膜作成の基板として、Si(001)表面を用いた実験を行った。超薄膜作成のために、まずSi(001)表面を超高真空中で清浄化して、冷却実験を行っていたところ、約40K以下においてのみ、Si(001)表面の構造が、電子線照射によって変化することを見いだした。Si(001)表面は工業的、学術的に非常に重要な表面であるため、この特異な現象の起源を解明する事はたいへん重要であると判断し、昨年度改良を行った10Kまで冷却可能な低速電子回折(LEED)装置を用いてこの現象の原因を探った。同様の構造変化はヘリウムネオンレーザー照射によっても生じることも見いだし、電子線や光によって生じた表面における電子励起が構造変化の駆動力となっていることが分かった。また、複数のドーピングの異なる(不純物原子の密度や種類)試料を用いた詳細な実験の結果、低温におけるキャリア密度の減少が構造変化に深く関与していることが分かった。これらの結果から低温における構造変化の有力なモデルを提案した。この成果は「Physical Review Letters」誌に掲載された。また、この成果をミュンヘンで開催された国際会議「The 8th International Conference on the Structure of Surfaces」において発表したところ、高い評価を受け、若手研究者を対象とした「Young Scientist Prize」を受賞した。 さらに超薄膜作成の基板表面の構造を明らかにするため、Si(001)表面再構成構造の詳細な解析をLEEDによって行った。詳細な解析の結果、非常に高い精度で表面原子の位置を決定する事に成功し、さらに表面再構成による格子歪みが表面から8原子層まで生じていることが明らかになった。同様の結果は同族であるGe(001)表面においても得られ、これらの結果を「Surface Science」誌に報告した。
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