2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規触媒反応場としての多孔質ファイバーコンポジットの材料設計
Project/Area Number |
04J06768
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深堀 秀史 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 抄紙技術 / シート成型 / 多孔質構造 / 光触媒分解 / 酸化チタン / 燃料電池 / メタノール水蒸気改質 / 水素製造 |
Research Abstract |
本研究では、抄紙技術の応用による粉末状触媒のシート化、および調製したシート触媒の環境浄化・物質生産プロセスへの適用について検討した。 初めに、強力な光触媒能を有し、環境浄化材料として注目されている酸化チタンをシート状に成型した。従来の固定化光触媒においては、成型に伴う触媒性能の低下が問題であったが、シート触媒の調製条件を検討し、多孔質なシート内部に酸化チタン粒子を分散・担持させることで、粉末状酸化チタンと同程度の分解能を有する酸化チタンシートの調製に成功した。本研究で調製した光触媒シートは、高い光触媒能と取り扱いの容易さを兼ね備えており、新規環境浄化材料として期待が持たれる。 次に、シート触媒の物質生産プロセスへの展開として、メタノール水蒸気改質法による燃料電池用水素生産を試みた。光触媒シートで得られた知見を基に、比較的安価な銅-亜鉛系触媒をシート内部に抄き込み、改質反応に供してその性能(メタノール転化率、改質ガス中の水素および一酸化炭素濃度)を比較した。シート触媒を用いた場合の水素濃度は、粉末触媒と同様に72%以上であり、高濃度の水素ガスが得られた。転化率については市販のペレット状触媒よりも優れており、粉末状触媒と同等の値(90%)を示した。一方、一酸化炭素濃度は粉末使用時の40%以下に低下しており、水性逆シフト反応(CO_2+H_2→CO+H_2O)の抑制が示唆された。シート内部の空隙が良好なガス流路となり、触媒周辺の熱・物質輸送が促進されたためと推察される。以上の結果より、シートの構造の有する多孔質構造が、メタノール改質反応における良好な反応場となることが示された。
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