2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06928
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
豊福 恭子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 根の可塑性 / 根系 / 糖輸送・糖代謝関連遺伝子 / 側根形成遺伝子 / 塩ストレス / イネ / トウモロコシ |
Research Abstract |
作物の根系は可塑性という性質により、ある程度の土壌ストレス環境下においても根系を拡大する事で養水分吸収を維持していると考えられている。根系の可塑性の実態を観察する目的で0,0.1,0.2,0.5Mの塩ストレス条件下でイネを水耕栽培し、経時的に種子根長・総根長・総表面積・総体積・側根数等を調査した。いずれも時間の経過およびストレス強度の増加につれて抑制されたが、側根1本あたりの表面積・体積は維持、さらには増加する傾向が示された(168時間0-0.2M塩処理区)。抑制された種子根の伸長を相補する目的で側根形成に変化が起きた事が示唆された。 側根形成時、地上部からの光合成同化産物に依存してその形成・伸長を行うと考えられるため、0,0.2M塩処理区で18時間栽培したイネのRNAを用いて、イネスクロース輸送体(OsSUT1)とインベルターゼ(OsINV2)のノーザン解析を行いその発現解析を行った。地上部においてOsSUT1はストレスの有無に大きな影響を受けずに発現が見られたのに対し、OsINV2はストレス処理区でより強く発現していた。いずれも根では発現が観察されなかった。18時間塩処理区は特に地上部の伸長抑制が形態的に観察された事から、これらの遺伝子は今回用いた処理区では地上部でのストレス応答に関与している可能性が示唆された。処理後36時間と168時間には地上部・地下部ともに著しい伸長抑制並びに形態変化がみられるため、今後この時期の遺伝子発現解析も実施して考察する。 また、トウモロコシ幼根の凍結切片を作製し、レーザーマイクロダイセクション(LMD)法で側根原基を含む各組織を分離回収しcDNAライブラリーを作製する準備を進めている。ストレスの有無による各組織の発現遺伝子の差異を網羅的に調査する事により、根における可塑性メカニズムの分子的解明に向けたアプローチとしたい。
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