2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J06934
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
有村 奈利子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手
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Keywords | 軸索 / 神経細胞 / CRMP-2 / Rhoキナーゼ / リン酸化 / Ras |
Research Abstract |
脳神経系は極めて精巧な神経回路網を有する。このような神経回路網の形成には、軸索と樹状突起という2つの異なる神経突起が複雑にシナプスを形成することで形成、機能している。しかしながらこれらの突起の形成メカニズムについては不明な点が多い。 以前私はcollapsin response mediator protein-2(CRMP-2)が軸索の伸長や退縮に関与することを明らかにしてきた。さらに近年、CRMP-2が軸索/樹状突起の運命決定を担い、極性形成や軸索伸長に重要な役割を果たすことが提唱されている。最近我々はCRMP-2が低分子量G蛋白質Rhoの標的蛋白質Rhoキナーゼによってリン酸化されると、チューブリンやNumbとの結合能を失うことを明らかにした。しかしActinとの結合にはリン酸化による影響は見られなかった。反発性軸索ガイダンス因子であるephrin-A5刺激による成長円錐の退縮時に、CRMP-2のリン酸化レベルの上昇が見られた。これらの結果は、成長円錐の退縮時にRhoキナーゼがCRMP-2をリン酸化し、CRMP-2とその結合分子との相互作用を制御することによりCRMP-2の機能を阻害していることを示唆している。CRMP-2はGSK-3βによってもリン酸化される。Rhoキナーゼと同様に、GSK-3βによるCRMP-2のリン酸化によってCRMP-2はチューブリンと結合しなくなり、不活性化されることも見出した。さらに、GSK-3βの上流にRasが存在していることが明らかとなった。Rasが活性化するとPI3-kinase/Akt/GSK-3βを介してCRMP-2のリン酸化を抑制し、従って軸索形成を促進することが明らかとなった。以上の結果から、極性形成を制御するCRMP-2は様々な分子と相互作用し、細胞外シグナル依存的にリン酸化され、その活性が制御されることが明らかとなった。
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