2004 Fiscal Year Annual Research Report
メコンデルタ開拓史の考古学的研究-オケオ文化期からアンコール王朝への変遷-
Project/Area Number |
04J06982
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
平野 裕子 上智大学, 外国語学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 考古学 / 国際情報交換 / 港市遺跡オケオ / ベトナム:カンボジア / メコンデルタ 開拓 / 交易ネットワーク / 文化交流 / 歴史 |
Research Abstract |
本研究は、メコン河下流域における交易ネットワークの実態と初期国家が形成された過程を、考古学的に検証することを目的としており、中でもネットワークの結節点となった港市遺跡オケオを原点都市、メコンデルタ考古文化(オケオ文化)とアンコール王朝へ続く文化変遷に着目している。そのため、本年度においては、研究課題に関する基礎的資料・地図・文献資料の収集と、調査対象地域における踏査・資料調査が重視された。 遺跡踏査に関しては、7月以降数回にわたってベトナムやカンボジアの考古学研究諸機関・博物館と打ち合わせを行いながら進められた。8月にカンボジア南部2州(Kampot, PreyVeng)のプレアンコール期に属する諸遺跡を主に踏査を行った。また乾季(12月・1月末)ではベトナム南部メコンデルタ東部台地・西部低湿地において、オケオ文化期に属する遺跡を中心に踏査を行った。その結果、メコンデルタ下流域における当年代に属する遺跡の地理的立地環境・分布状況及び構造を体系的に分析するために必要なデータが把握できた。また資料調査では、ベトナム南部各省の博物館等が所蔵する考古資料(特に精砂土器や瓦、ガラス資料に注目)の資料化を進め、比較研究の基礎的資料を収集した。そしてこれらの成果を一部研究発表することにより(10th International Conference of European Association of Southeast Asian Archaeologists at London等)、意見交換を進めている。 以上の成果に基づき、現在データベース作成・分析を進めている。また踏査の結果、来年度のオケオ遺跡居住址の発掘地点を確定することができ、今後は発掘の成果によって居住形態や土器生産の実態を裏付け、メコン河下流域の開拓・交易ネットワーク発展のモデル構築に向けて研究を進めていきたい。
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